【イベントレポート】塾生議会選挙討論会
- gakuyukaikp
- 5月24日
- 読了時間: 12分
更新日:5月24日
2025/05/24
芝学友会では、メンバーが実際に参加したイベントについて、その体験をもとにレポートを執筆しています。
今回のイベントは、2025年5月18日に実施された「全塾協議会塾生議会選挙 公開討論会」です。
芝学友会のメンバーがXおよびYouTubeで配信された討論会を視聴し、候補者の主張や人柄について、全塾協議会の所属団体としての視点から掘り下げます。
全塾協議会や、選挙についての情報は、全塾協議会公式HP又はSNSアカウントからご覧いただけます。
▼立候補者一覧(全塾協議会立候補者公告より)
イベント概要
日時: 2025年5月18日 11時10分~12時30分
場所: 全塾協議会のXアカウント及びYouTubeライブでの配信
参加者: 内田塾生代表、白坂リサ候補、大玉直候補、坂本健斗候補
(役職はすべて2025年5月時点のものです)
塾生議会選挙に立候補している4名の立候補者のうち、3名の候補者が参加して討論会が行われました。前回の塾生代表選挙の討論会と同様、テーマ別の討論会や相互質問、視聴者からの質問などを通じ、各候補の政策、塾生議員としてのビジョンなどを知ることができるイベントとなりました。また、討論会の内容や各候補が重視する論点において、塾生代表と議員の違いがよくわかるイベントであったと思います。
▶塾生代表再選挙討論会イベントレポートはこちらから
YouTube配信のアーカイブはこちらからご覧いただけます。
(※一部音声、映像が聞き取りずらい箇所があります。予めご了承ください。)
イベントの様子
今回の討論会では大きく分けて、9個のセクションで行われました。討論会で扱われた主なテーマは以下の通りです。
1 各候補の自己紹介と公約の紹介
2 なぜ塾生議会選挙に立候補したのか
3 塾生議会の存在意義と目指す議員像
4 自由討論1
4−1 これまでどのような取材活動をしてきたか(坂本→白坂)
4−2 全塾奨学金の規模と交付対象(白坂→坂本)
4−3 執行部との距離感について(司会→大玉)
5 予算審議と財政について
6 最も力を入れたい政策
7 自由討論2
7−1 活動補助金の監査について(司会→白坂)
7−2 物言える自治会への道筋(坂本→大玉)
7−3 執行部との協力という言葉を使う意味(白坂→大玉)
7−4 立て看板のルールの整備について(司会、大玉→白坂)
8 視聴者からの質問
8−1 直近の全塾協議会の改革への評価(→全員)
8−2 大学からの信頼はどう得るか、選挙との関係(→大玉)
8−3 なぜ去年世論調査ができなかったのか、今年はできるのか(→坂本)
8−4 立て看板の要望について(→白坂)
8−5 自身の提案が否決された場合の対応(→全員)
8−6 普段関わらないキャンパスの学生の声をどう拾うか(→全員)
9 最後の主張とあいさつ
候補者間の質問や、視聴者からの質問という形で、単に同じテーマについて各候補者の主張を比較する場というものではなく、各候補の個性、人柄を見る機会になりました。塾生代表と異なり、この中から1名を選ぶのではなく、全員が議員になる可能性があるという面での配慮が進行上で考慮されていた印象です。
ここからは、話し合われた共通テーマの中から特に興味深いと感じたテーマ3つと、候補者ごとの特徴について、候補者の発言を踏まえて深堀りしていきます。
深堀り共通テーマ1 各候補者の自己紹介と公約の紹介 個性豊かな3名の候補者。1分間で語られる公約とその想いとは
▶本テーマでの主な発言
白坂候補:「現場の意見を尊重」「公認団体への活動補助金助成」
大玉候補:「塾生の声を聞く」「現役の学生として感じたことを大切に」
坂本候補:「肌で感じられる還元を」
討論会では、冒頭で各候補者による自己紹介と公約紹介が行われました。司会者の進行のもと、限られた時間の中で、それぞれの候補者が自身の掲げるビジョンと具体的な施策を視聴者に伝えました。
白坂候補は、これまでの制度設計・運営経験がないからこそ、現場の意見を重視する姿勢を強調しました。公約としては、公認団体への活動補助金助成、メディアセンターの段階的な24時間解放、そして立て看板ルールの制定を挙げ、実践的なアプローチを提示しました。
大玉候補は、現役の学生として活動する中で見えてきた課題への解決のため、主な公約として「快適なキャンパスライフ」「繋がりを力に」「物言える自治会」の3点を掲げました。金融研究部の代表や広報担当としての経験を活かし、塾生との繋がりを大切にし、その声を聞くことに注力する姿勢を示しました。
坂本候補は、「肌で感じられる還元を今度こそ」というキャッチコピーのもと、塾生への具体的な還元を訴えました。具体的には、前年度から引き続きの挑戦となる塾生世論調査の実施、塾生への還元を実感してもらうための全塾奨学金の設置、そして塾生同士の繋がりを強化する塾生紹介メディアの立ち上げの3つの方針を提示しました。
最初のテーマでは、各候補者がそれぞれの経験と視点から、塾生の声に耳を傾け、より良いキャンパスライフを実現するための公約を掲げ、候補者たちのバックグラウンドや考え方が垣間見える時間となりました。ただ競い合う相手ではないという議会選挙における活発な議論の幕開けとなりました。
深掘り共通テーマ2 塾生議会の存在意義と目指す議員像
導入2年目の塾生議会。候補者たちが考える議会の役割とは
▶本テーマでの主な発言
坂本候補:「塾生のハブ」「頼めばなにか解決してくれそう」
白坂候補:「学生の声を大学に届ける」「現場に足を運び、直接声を聞く」
大玉候補:「部分利益の代弁」「直接塾生と繋がれる存在」
討論会は、「塾生議会の存在意義と目指す議員像」というテーマに移り、このテーマでは、各候補者が塾生議会の存在意義と、自身が目指す議員像について熱く語りました。塾生と大学、そして塾生同士の繋がりという観点から、それぞれの候補者の考える理想の姿が浮き彫りになりました。
坂本候補は、塾生議会を「塾生のハブ」と捉え、従来の塾生から意見を吸い上げて、議会で決定するというピラミッド型構造から、塾生同士の繋がりを生み出す役割への転換を提唱しました。AI時代において、人と人との繋がり、すなわち社会関係資本が重要であることを強調し、多様な価値観が集まる慶應義塾の強みを活かすことを目指すと語りました。自身が目指す議員像は「坂本に頼めば何か解決してくれそうだな」という信頼感を得られる存在であり、個人として積極的に行動していく姿勢を示しました。
白坂候補は、自身の学生生活での経験を踏まえ、現状の制度内での手続きでは届きにくい学生の声を議会を通して集め、大学側に届けるという役割を重視しました。理想の議員像としては、現場に足を運び、直接声を聞き、それを政策に反映する議員を掲げ、これまでの取材活動で培った「人の話を聞く」能力をアピールポイントとしました。
大玉候補は、塾生議会の存在意義について3つの点を挙げました。第一に、約2万8千人の塾生の「部分利益の代弁」として、多様な価値観を持つ学生の一部を代表し議論すること。第二に、定員5名の塾生議員は「より塾生に近い目線での対話」が可能であること。第三に、塾生代表とは異なり「執行部とは一線を画した考え方」で塾生の意見を形にできること。これらの意義を踏まえ、目指す議員像は「塾生に近い目線で意見を吸い上げ、直接塾生と繋がれる存在」であり、「何か困り事があったら、とりあえず塾生議員に相談すれば解決してもらえるかもしれない」という身近な存在になることを目指すと語りました。
それぞれの候補者が、塾生議会の役割と自身の議員像について異なる視点から語りました。導入から2年目の新しい制度の中で、曖昧になっている役割に対する明確な考えを持った三名により、塾生議会が持つ多様な可能性が示されました。
深掘り共通テーマ3 最も力を入れたい事業
候補者の一丁目一番地。強い想いが現れる討論会のハイライト
▶本テーマでの主な発言
坂本候補:「塾生世論調査」「短期的に行う」
白坂候補:「メディアセンターの24時間会場」「立て看板ルールの制定」
大玉候補:「物言える自治会」「積極的な広報政策」
次のテーマでは、各候補者が自身の公約の中で最も実現に力を入れたい事業について語りました。塾生の声の把握、学習環境の整備、そして自治会としての信頼回復と広報という、それぞれの候補者の重点が明確になりました。
坂本候補は、塾生世論調査の実施を最優先事項として挙げました。塾生が何を望んでいるのかを正確に把握することが、効果的な政策立案と塾生の関心を得る上で不可欠であると強調しました。全塾奨学金やメディア立ち上げは長期的な視点で、世論調査は当選後すぐに着手したいという意向を示しました。
白坂候補は、メディアセンターの段階的な24時間解放に最も力を入れたいと述べました。選挙活動中にこの要望が多く聞かれたことを挙げ、塾生のニーズに合わせて柔軟に開放時間を調整していく考えを示しました。また、立て看板ルールの制定も重要視しており、塾生アンケートを通して意見を募り、広報手段の拡充を図ることで、塾生議会への関心を高めたいと語りました。
大玉候補は、公約の柱の一つである「物言える自治会」の実現に注力すると表明しました。塾生の声を大学当局と協力して実現できる全塾協議会を目指す一方で、近年の選挙不成立などによって低下した、大学当局からの信頼回復が不可欠であると指摘しました。そのためには、積極的な広報政策を推進し、より多くの塾生に全塾協議会に興味を持ってもらい、身近な存在として関わってもらうことが重要だと訴えました。
このセッションでは、各候補者の主要政策が具体的に提示され、その内容にはそれぞれの問題意識と解決へのアプローチが色濃く反映されていました。同じ方向を向いている部分もあり、今後の塾生議会全体としての活動活発化に期待ができる討論だと感じました。
深掘りテーマ4 候補者別深堀り
討論会を通して見える各候補の特徴とは
1,白坂リサ候補:現場の声に耳を傾ける「伴走者」
白坂候補は、自身の「中央の制度設計や運営に携わった経験がない」ことを逆手に取り、「だからこそ、現場の皆さんの実感や経験に触れ、一緒に考えたい」という姿勢を明確にしました。この点から、既存の枠組みにとらわれず、塾生一人ひとりの「不満の声」を起点に制度を改善していこうとする現場主義と共感力が白坂候補の特徴といえます。
公約に掲げる「全ての公認団体へ向けた活動補助金の助成」や「メディアセンターの段階的な24時間解放」は、具体的な塾生のニーズに基づいたものと語っていて、「立て看板ルールの制定」では、広報の手段確保と表現の自由への配慮を両立させようとする姿勢が見られ、多角的な視点で物事を捉える能力が伺えます。
「現場に足を運び、直接現場の人の声を聞き、それを政策に反映していく議員」という理想の議員像や、自由討論での「デモの取材や政治家の候補者の演説会を取材」した経験、さらには「塾生議員だからこそ話が聞けたり、話してくれたりすることがたくさんある」という発言からは、フットワークの軽さと傾聴力が感じられます。否決された際の対応や、立て看板に関する質問に対する答えからも、今困っている塾生の声を聞き、動こうとする姿勢が見られました。塾生の「伴走者」として、共に課題解決に取り組んでいこうという姿が見られました。
2,大玉候補
多角的な視点を持つ「繋がり」の担い手
大玉候補は、自身の公約を「快適なキャンパスライフ」「繋がりを力に」「物言える自治会」と3つの視点から提示し、中央機関で活動した経験を通じて培った俯瞰する視点と現状への強い危機感を表明しました。選挙への投票率の低さや議会への関心の広がらない現状に対し、「今度は自分自身が候補者として最前線に立ち、一人ひとりと直接向き合い、対話し、関心を広げていこう」という決意は、行動力と当事者意識の強さを示していると感じました。
議会の存在意義について、「部分利益の代弁」「より塾生に近い目線での対話」「執行部とは一線を画した考え方ができる」と語り、役割の明確化とバランス感覚が際立ちました。特に執行部との距離感に関する質問では、「協力し合いながら政策を実現していく形になるが、執行部の考え方と塾生から直接吸い上げてきた考え方が一致しない時もあるでしょう。そういう時に積極的に対話し、より良い政策を考えていく」と述べ、そのうえで、対立構造や立場の違いが際立つ議会と執行部の間の学生同士の交流を重要視する考えを示しました。
塾生同士、議員同士、議会と執行部といった繋がりを俯瞰した視点で実現しようとする姿勢は、特定の立場にとどまらない塾生の声に耳を傾け、それを具体的な政策へと昇華させる彼の実現力への強い意欲を示していると言えます。
3,坂本候補
課題解決に執念を燃やす「実直な挑戦者」
坂本候補は、「昨年度塾生議員として活動する中で、半年という期間では達成できなかったことが多くあった」ため、再度立候補したと語り、やり残したことへの強い執念と課題解決への意欲を表明しました。「肌で感じられる還元を今度こそ」というキャッチコピーは、これまでの経験から得た反省と、具体的な成果へのこだわりが強く表れているといえます。
「聞く:塾生世論調査」「叶える:全塾奨学金」「繋がる:塾生を紹介するメディア」という3つの軸は、塾生の声の可視化から具体的な還元、そしてコミュニティの活性化へと繋がる一貫したビジョンを示しています。特に塾生世論調査については、昨年度実現できなかったことを踏まえ、「当選した際にはこの実施をメインに動いていきたい」と述べるなど、公約実現への強い意志が見て取れます。
自身の「SFCでの生徒会長経験」「大学1年生の時に事務局で活動した経験」「昨年度議員として活動した経験」というアピールポイントは、学生自治に長く携わってきた経験と実績を示しており、塾生に寄り添い、確実に成果を届けていこうとする誠実さと粘り強さが込められているといえます。
今回の討論会を通じて、3名の候補者がそれぞれ異なるアプローチで塾生自治の未来を展望していることがわかりました。白坂候補の現場主義と共感力、大玉候補の多角的な視点と行動力、そして坂本候補の課題解決への執念と実直さ。3名の個性と特徴がよく現れた討論会だったと言えます。
塾生代表を選ぶ選挙と異なり、この中の一人のみが当選するわけではなく、全員が当選することもあります。だからこそ、一人ひとりの主張はもちろん、彼らが実際に議会でどのような議論をするのか、議会という集合体でどのように役割を発揮していくのか。そのような視点で今回の討論会を見てみるとより興味深い体験になると思います。
今回の討論会に限らず、実際の塾生議会も塾生に公開されていますので、ぜひ一度傍聴してみてください。
最後に:忘れずに投票を!
塾生議会選挙の投票期間:5月20日(火)〜26日(月)
▶投票に関する情報はこちらから
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