top of page

【イベントレポート】塾生代表選挙討論会

  • gakuyukaikp
  • 5月24日
  • 読了時間: 16分

2025/05/24  


芝学友会では、メンバーが実際に参加したイベントについて、その体験をもとにレポートを執筆しています。

 今回のイベントは、2025年5月13日に実施された「全塾協議会塾生代表再選挙 公開討論会」です。芝学友会のメンバーがXおよびYouTubeで配信された討論会を視聴し、候補者の主張や人柄について、全塾協議会の所属団体としての視点から掘り下げます。



全塾協議会や、選挙についての情報は、全塾協議会公式HP又はSNSアカウントからご覧いただけます。


立候補者一覧(全塾協議会立候補者公告より)


イベント概要


日時: 2025年5月13日 18時30分~20時30分

場所: 全塾協議会のXアカウント及びYouTubeライブでの配信

参加者: 内田塾生代表、岩切太志候補、加藤大己候補、外岡史行候補

 (上記役職はすべて、2025年5月時点)


 塾生代表再選挙に立候補している6名の立候補者のうち、3名の候補者が参加して討論会が行われました。テーマ別の討論会や相互質問などを通じ、各候補の政策、全塾協議会への思い、塾生代表としてのビジョンなどを知ることができるイベントとなりました。


 YouTube配信のアーカイブはこちらからご覧いただけます。

(※配信に不安定な部分があり、一部音声、映像が途切れています。何らかの対応が行われた際には改めて追記いたします。)



イベントの様子


 今回の討論会では大きく分けて、13個のテーマについて話し合われました。討論会で扱われた主なテーマは以下の通りです。


1 各候補の自己紹介と公約の紹介

2 なぜ塾生代表選挙に立候補したのか

3 今の慶應義塾大学に必要なもの

4 自治会費の使い道について

5 最も力を入れたい事業

6 交付金を減額又は増額する団体

7 前政権に関する評価

8 当選後の執行役員人事について

9 SFCにおける課題

10 塾長再任について

11 未来の慶應義塾について

12 候補者間の質問

13 最後の主張とあいさつ


 単なる各候補者の塾生代表候補としての政策の主張にとどまらず、慶應義塾全体に関する議論も行われ、学部やキャンパス、学年といった各候補者の背景の違いから出る意見やその中でも共通する認識などもあり、薬学部生としても共感できる意見が多く、興味深く感じる内容が多くありました。


 ここからは、話し合われたテーマの中から特に興味深いと感じたテーマ4つについて、候補者の発言を踏まえて深堀りしていきます。


深堀りテーマ1 各候補者の自己紹介と公約の紹介 公約から滲む人柄と個性。1分間で語られた広報者の想いとは


▶本テーマでの主な発言

岩切候補:「4度目の選挙挑戦」「慶應義塾のため尽力したい」

加藤候補:「対話による繋がり」「全塾協議会の役割見直し」

外岡候補:「公約はビラなどを参照」「三重への弾丸旅行」

 

討論会は、まず候補者による自己紹介と公約の紹介からスタートしました。この時間は、各候補者の人柄や政策を知り、比較検討するための貴重な機会となりました。司会者の進行のもと、各候補者は1分間の持ち時間で自身の考えを熱意を持って話しました。


 最初に話をした岩切候補は、今回で4度目の塾生代表選挙への挑戦であることを明かし、塾生代表への強い熱意を表明しました。過去3回の選挙では最多得票を得ながらも、投票率不達による不成立に終わったことに触れつつ、当選した暁には塾生のため、慶應義塾のために尽力したいと話しました。主な公約として、日吉における新たな学園祭の開催を含む「学園祭の活性化」、サークル・體育會双方への「課外活動サポート強化」、そして履修抽選制度の見直しやメディアセンター開館時間延長などによる「キャンパスライフの充実」を挙げました。


 次に発言した加藤候補は、「対話」「柔軟」「持続」を活動の標語に掲げて、当選後にどのように活動するかを話しました。公約として、所属団体や塾生との「対話促進による繋がり回復」、新規事業等への「投資的視点による積極的支援」、そして現状資金配分機関となっている「全塾協議会の役割見直しと強化」の3点を提示しました。


 最後に自己紹介を行った外岡候補は、自身の公約についてはビラなどを参照してほしいとし、自己紹介として、最近の1泊4日での三重弾丸旅行について話していました。その結果、体調を崩し、スペイン語のテストを受けられなかったというエピソードを語り、つかみを終えました。


 最初のテーマでは、討論会全体の雰囲気を形づくる大切な時間となり、候補者たちの多様なバックグラウンドや考え方が垣間見える時間となりました。塾生代表という存在に対する考え方、姿勢の違いがよくわかり、一言に選挙の候補者といってもその裏にある気持ち、モチベーションは違うのだと感じました。その後のテーマで選挙に出た理由について語る3名を見て、よりその感覚は強まりました。


深掘りテーマ2 今の慶應義塾大学に必要なもの

塾生の代表を目指す候補者たちが求める大学像とは。公約との関係は


▶本テーマでの主な発言

外岡候補:「学びやすい環境」「コンセント設置拡大」

岩切候補:「学びたいものを学べる環境」「縦と横の繋がりを深める」

加藤候補:「社中協力の再構築」「メディアセンターの利便性向上」


 討論会は、「今の慶應義塾大学に必要なもの」というテーマに移り、各候補者が現在の慶應義塾大学が抱える課題と、その解決のために必要だと考える内容について意見を述べました。


 まず、外岡候補は、慶應義塾に必要なものとして「学びやすい環境」の整備を挙げました。慶應義塾の強みである「縦と横の繋がり」を勉学にも活かすためには、学生が積極的に学びに取り組める環境が不可欠であるとして、そのための具体的な施策が公約として挙げている、教室などでのコンセント設置拡大や、仮眠スペースの整備であると説明しました。


 次に発言した岩切候補も、「学びやすい環境」の重要性に同意し、学びたいものを学べる環境として履修抽選制度の見直しを求めて大学と交渉したいとする意思を示しました。また、メディアセンターの開館時間について、学習時間を確保したい学生の声があることに触れて、改善の必要性を訴えました。加えて、今の慶應義塾には自然と仲良くなれる機会が少ないと感じているとして、クラス制度が現状授業を受けるだけの関係にとどまっているとの考えを示しました。自らが新設を目指す「日吉祭」におけるクラスでの出店を奨励することで、クラスの団結機会を創出し、さらに部室確保によるサークル・体育会メンバーとの交流促進を図るなど、「縦と横の繋がり」を深めることの重要性を強調しました。


 加藤候補は、慶應義塾に必要だと考える点を主に二つ挙げていました。一つは、慶應義塾最大の強みである「社中協力」、すなわち塾員と塾生間の繋がりが、近年薄れてきているという現状認識を示し、様々なレベルでの繋がりを強化していくことの必要性を強調しました。もう一つは、岩切候補も言及したメディアセンターの開館時間の問題です。学ぶ場、研究する場、本を読む場としてのメディアセンターの利便性向上は重要課題であり、代表として改善に取り組みたいと述べました。


 このテーマでは、「学びやすい環境」や「縦と横の繋がり」といった共通認識が見られた一方で、それぞれの候補者が特に重要視する課題や、それに対するアプローチの違いが明確になりました。ここでの議論がのちにまとめる深掘りテーマ4の「最も力を入れたい事業」に繋がっていきます。確かに、K-LMSなどを通して講義のデジタル化が進む中で、十分な量のコンセントがなかったり、通信が安定しなかったりというのはどの学部でも、どのキャンパスでも同じ認識なのだなと分かり、喫緊の課題の一つなのだと感じました。「社中協力」や、そもそもの「塾生」、「塾員」という単語自体をあまり薬学部で聞くことも使うこともないなと気づき、ここにも違いがあるなと感じました。


深掘りテーマ3 自治会費の使い道・交付金を増額又は減額する団体

塾生から集めた大切な自治会費。その使い道に対する候補者の想いとは


▶本テーマでの主な発言

岩切候補:「交付額の増額」「塾生が恩恵を受けられるか」

加藤候補:「学生同士の信頼関係重視」「投資的に使用する」

外岡候補:「ほぼ同じものを出したい」「公約実現のための支出」


 討論会のテーマは、塾生から集められる自治会費の使い道、特に所属団体への交付金に関する議論へと移りました。自治会費は執行部事業費や所属団体への交付金などに充てられていますが、各候補者はこの貴重な資金をどのように活用していくべきか、それぞれの考えを述べました。

 

(※進行上、テーマ二つにまたがる討論を一つにまとめています。また、このテーマのあたりで配信が不安定になり、一部が聞き取れなかったため、最大限誤りのないように配慮していますが、情報として不十分な箇所が存在する可能性があります。ご了承ください。)


 岩切候補は、所属団体への「交付金を増やしていきたい」という明確な意向を示しました。この増額分は、主に学祭への参加団体の金銭的負担を軽減するため、参加費の引き下げに充ててほしいと考えているとしていました。現状、三田祭などの学園祭では、参加団体に人数に応じた参加費や追加費用が発生していて、これが団体の活動を圧迫していると主張しました。部室の改修費についても、今年度の余剰金や繰越金を活用する考えを示しました。

 さらに、所属団体への交付金に関するテーマでは、基本的に減額は考えていないとし、増額分は学園祭に参加する団体や国際関係の団体などに充てていきたい意向を改めて表明しました。増額の判断基準は、「塾生が恩恵を受けられるかどうか」であると強調しました。


 加藤候補は、所属団体への交付金に関するテーマでは「基本的にはそのままにしたい」と述べ、現状維持をベースとする考えを示しました。しかし、近年の全塾協議会が官僚的になり、団体の新しい取り組みに対して、前例がないとして資金提供を断るケースがあることに懸念を示し、学生同士であるからこそ、信頼に基づき、柔軟に資金を提供していく必要性を訴えました。そのために対面での活動を増やして、普段からの関係性をより深めることが重要だと話しました。

 また、自治会費の使い方について、目先の課題だけでなく、「もっと未来のことを考え、投資的に資金を使う」べきだと主張し、続けて、4~5年後を見据えた上で、どのように使えば塾生に最大限還元できるのかという視点で支出を判断したいと述べました。


 外岡候補も、基本的に所属団体への交付金は「ほぼ同じものを出したい」とする考えを示しました。自身の公約であるコンセント設置拡大のために延長コード購入費用などにある程度支出する必要があることに触れつつも、交付金の変更予定は特にないとし、減額も考えていないと回答しました。


 各候補者とも所属団体への交付金について基本的に減額は考えていないという共通認識があることが明らかになりました。ここで安堵するのが所属団体として適切かは置いておいても、各候補に所属団体を尊重しようとする意志が一定みられたことには安心しました。その上で、塾生への直接的な恩恵、前例にとらわれない柔軟な資金提供と将来を見据えた投資的視点、公約実現のための支出といったように、自治会費のあり方に関する多様な考え方が示されました。


深掘りテーマ4 最も力を入れたい事業

候補者の一丁目一番地。それぞれの強い想いが現れる討論会のハイライト


▶本テーマでの主な発言

加藤候補:「繋がりの基盤づくり」「情報プラットフォームの新設」

外岡候補:「学びたい環境をつくる」「実現に向けた大学との交渉」

岩切候補:「日吉学祭の新規開催」「塾生代表として公認化を目指す」


 討論会は、各候補者が「これだけは絶対にやりたい」と考える、最も力を入れたい事業についての討論に移りました。各候補者の意思表明後には、候補者間の質疑応答の時間も設けられ、活発な意見交換が行われました。


 加藤候補は、最も力を入れたいこととして「所属団体同士の繋がりや、塾生と全塾協議会との繋がりを大切にしていくこと」、そのための基盤づくりに注力したいと述べました。具体的には、現状多くの塾生に見られていないK-supportに代わる、あるいはそれを補完する新たな情報システム構築を提案しました。タグ付け機能による情報の選別や、サークル情報、キャンパス内のマップ、自動販売機の位置、シラバス、スケジュールなどの多岐に渡る情報を集約することで、塾生が普段からアクセスしやすいシステムを目指し、これにより重要な情報が確実に届くようにしたいと考えを示しました。

 他の候補者からの質問に対し、既存システムの改修ではなく、全く別のシステムをゼロから作ることも視野に入れていて、外部委託や有識者の意見も取り入れ、ログインの利便性と情報保護の両立を図るアイデアにも言及しました。


 外岡候補は、再度強調して「学びたい環境を作る」ことを最優先課題と位置づけました。公約の中でも、早期実現を目指すものとして「コンセントの増設」と「仮眠室のような休める環境の整備」を挙げました。また、実現には多大な困難が伴うことを認めつつも、4年間かけてじっくりと取り組みたい長期目標として「土曜日必修の廃止に向けた交渉」を掲げ、これらを通じて塾生の学びに関するモチベーション維持を図りたいと述べました。

 コンセント設置費用に関する質問に対しては、見積もりはまだだとし、基本的に大学側との交渉で賄うことを目指して、それが難しい場合に全塾協議会の予算で対応する考えを示しました。


 岩切候補は、最も力を入れたい事業として「日吉学祭の開催」を挙げました。その理由として、前のテーマでも触れたクラスでの団結機会の不足や、全学部で団結する機会を創出したいという思いを語りました。

 進捗について問われると、今年は非公式で行い、その具体的な開催時期は10月15日、会場候補として協生館または武蔵小杉のホール(いずれも500名規模)を検討していると答えました。内容については、サークルやアーティストのライブ、塾生や地域住民が楽しめる企画、さらには近隣地域との連携も視野に入れているとしました。


 候補者の発表後に行われた質疑応答では、それぞれの政策に対する疑問や懸念が投げかけられました。


 加藤候補は岩切候補に対し、日吉学祭の現状(非公式実行委員会の立ち上げなど)について、現状では会場の確保の面で、日吉での開催が難しい中でどのように位置づけをするのか、また、なぜ日吉である必要があるのかと質問しました。

 岩切候補は、塾生代表となることで日吉祭実行委員会の公認団体化や大学との交渉が可能になるため塾生代表になる必要があると説明し、日吉にこだわる理由として、多くの学部の1・2年生のメインキャンパスであり、全学部が集まる場所としての重要性を挙げました。


 岩切候補は加藤候補に対し、新しい情報媒体の運営主体が全塾協議会単独になるのか、あるいは他の媒体との連携も視野に入れるのかを質問しました。

 加藤候補は、基本的には、全く別のシステムを考えており、大学との交渉や外部委託なども視野に入れていると説明しました。重要な情報とそれ以外の情報が混在している現状を改善し、普段から利用される媒体を目指したいと話しました。全く新しいものを作ることにこだわる理由については、単なる情報提供だけでなく、塾生にとってより便利なプラットフォームを目指すためであり、システムの構築にあたっては多様な意見やノウハウを取り入れていきたいと説明しました。


 外岡候補も加藤候補に対し、新しい情報媒体のログイン方法と情報保護について質問しました。

 加藤候補は、アプリ化などを通じて公開しても問題ない情報と要ログイン情報を区別することで、ログインの利便性とセキュリティの両立を図れると回答しました。


 さらに、岩切候補は外岡候補に、コンセント設置費用を大学と全塾協議会のどちらが負担するのかを問い、外岡候補は基本的に大学への働きかけを優先し、それが難しい場合に全塾協議会が負担する考えであることを改めて確認しました。


 最後に、外岡候補から岩切候補へ、「日吉祭」という名称が付属高校である慶應義塾高等学校の学園祭と被る点について簡単な質問がなされ、岩切候補は名称についても今後議論が必要であると回答しました。


 このセッションでは、各候補者の主要政策が具体的に提示されるとともに、質疑応答を通じてその実現可能性、費用、運営方法など、多角的な視点から掘り下げが行われました。

 6つ目の学園祭開催を目指す岩切候補に対し、三田祭がすでにその役割を果たしているとし、そことの差別化について問う視点は、確かにその通りだなと感じました。多くのサークル、団体のメインとなる執行代が3年生前後であることを考えても、1,2年生を過ごす日吉に学生がそこまでのこだわりを持つかは疑問ではあります。

 情報媒体に関する問題は、私たちの下にも届いていて、大学側から学生たちがK-supportを見ていないため、重要な情報を見落としてしまっているという話を聞いたことがあります。アップデートの度にログイン手順が面倒になるのも原因の一端だとは思いますが、加藤候補の主張する施策により、もっとK-supportが見られなくなるというのも真に重要な情報を外部に出せない関係上、課題はあると感じました。


候補者ごとの印象


主な印象

岩切候補:日吉学祭への強いこだわり。その熱意はどこへ向かうのか。

加藤候補:未来への期待感。施策の具体性に疑問。

外岡候補:身近な政策。経験不足への不安。


 討論会全体を通した、3名の候補者の印象についてまとめていきます。


 岩切候補は、今回が4度目の挑戦ということもあり、塾生代表になるというところに強い意志を持っていることがよくわかりました。ただ少し、一つの政策にこだわりすぎているのではないかという印象が少しあります。実際に当選した際に、その熱意がどのように作用していくのか、気になるところだと思いました。


 加藤候補は、全体的に未来や将来という視点が多く織り込まれていた印象で、未来への期待を抱かせる一方で、一部の提案には具体性が不足している印象も受けました。所属団体を見ているという部分も感じつつも、近年の様子を見るに現実的に候補の言うような状況を作り出せるのか、まだ未知数だと感じました。


 外岡候補は、1年生という背景もあり、身近でわかりやすい政策が多かったという印象です。全体を通して丁寧で、長期的な視点も併せ持っていました。ただ、危機的状況にある全塾協議会を率いていくことができるのか、経験不足をどう補うのか、今後の動向に注目したいと思います。


最後に:忘れずに投票を!


 近年の全塾協議会塾生代表選挙は、投票率が足りず不成立となることが多発しています。私たちも、所属団体として、そして同じ学生自治を担う団体として、現状への危機感を強く感じています。どうしたら、より多くの塾生にメリットを感じてもらえるか、より多くの塾生が学びやすい環境を作れるのか、私たちにとっても非常に学びの深いイベントでした。


 

塾生代表再選挙の投票期間:5月20日(火)〜26日(月)

忘れずに、あなたの一票で慶應の未来を選びましょう!

皆さんの選択の助けになるよう、今後も可能な限り選挙に関する情報を発信していきたいと思います。


あなたはどの候補者の考えに共感しましたか?

芝学友会は、今後も薬学部生にとって大切な情報をお届けします。ぜひシェアやフォローをよろしくお願いします!


--------------------------------------

「けいやくにゅーす」




記事公開のお知らせは Instagram (@shibagakuyukai), X (@shibagakuyukai) からご確認いただけます


bottom of page